以下では投入量から歩留まりを求め、必要な出来高から原料量を逆算します。数値はすべて説明用の架空例です。魚種や加工方法の標準値としては使わないでください。

歩留まりの数字に、計量範囲を付ける
重量歩留まりの式は「出来高重量÷投入重量×100」です。分母と分子を決めるために、原料と製品をそれぞれどの工程で量るかを確認します。
受入時の原料から包装前の商品までを見る歩留まりと、下処理後から加工後までを見る歩留まりでは、分母の原料重量が違います。割合だけを転記せず、量った工程と状態も一緒に記録しましょう。
架空例として、同じ製造で原料を100kg投入し、製品の出来高が80kgだった場合、実績の歩留まりは次のとおりです。
80kg÷100kg×100=80%
| 記録欄 | 自社で確認すること |
|---|---|
| 対象 | 原料・商品・規格・加工方法 |
| 投入 | どの工程で、何を含めて計ったか |
| 出来高 | どこまで終わったものを数えたか |
| 単位 | kg、個など。換算するなら係数の根拠 |
| 時間 | 投入日と出来高の確定日 |
| 対応関係 | 同じ製造の投入と出来高を組にできるか |
片方だけ包装の重さを含めると、その分が差になります。製造中のものが残っているのに、投入全量と完成分だけを比べても同じです。包装を含むか、製造は終わっているかを確認してから計算します。
必要原料量を計算して、逆向きに検算する
製品250kgを作る場合を考えます。歩留まりは前の例と同じ80%、量る工程と重量の扱いも同じと仮定します。計算に使う値は0.8です。
- 必要原料量を逆算する:250kg÷0.8=312.5kg
- 出来高を検算する:312.5kg×0.8=250kg
前の例は100kgを投入して80kgできた記録から、歩留まりを求めました。今回は逆に、製品250kgを作るために原料を見積もっています。312.5kgはこれから投入する原料量です。
実際の投入量を決める際は、計算結果に加えて次を確認します。
- 投入できる単位や、作業上の最小量に合うか。
- 丸めて増やした分が、商品在庫としてどれだけ残るか。
- 原料在庫や設備の能力に収まるか。
例えば20kg単位でしか投入できないなら、312.5kgを320kgへ切り上げる案を検討します。歩留まり80%の仮定では出来高は256kgとなり、必要量より6kg多くなります。その追加分の使い道まで確認し、単純に切り上げて終わらせません。
複数の工程があるときは、どこまでを含む率か確認する
工程1の歩留まりが80%、続く工程2が90%という架空例で、それぞれの出来高が次工程の投入に対応するなら、全体では0.8×0.9=0.72、つまり72%です。80%と90%の単純平均85%にはなりません。
複数原料を配合する商品では、次の二点も確認します。
- どの原料の投入に対する出来高か。
- 調味料など、工程の途中で加わる原料を含めているか。
一つの原料だけを分母にした割合を、全投入に対する歩留まりとして使わないようにします。
商品を「個」で必要量にしている場合も注意が必要です。1個の重量を一定と置いてkgへ換算するのか、個数を直接扱う生産条件を使うのかを決めます。重量が変動する商品は、固定重量を使える根拠を確かめてください。
計画に採用する率と、実績を分ける
- 計画の歩留まり: これからの製造を見積もるために置く前提。
- 実績の歩留まり: 実際の投入と出来高がそろってから確定する値。
計画値を更新する際は、直近の1回をそのまま全商品へ採用するのではなく、原料や工程条件が似た記録と比較します。
複数回分をまとめるときは、投入量にも注目します。たとえば100kgから80kg、300kgから210kgできたとします。合計では原料400kg、出来高290kgなので、歩留まりは290÷400=72.5%。各回の80%と70%を平均した75%とは異なります。
どの集計を使うかは目的によりますが、合計原料に対する合計出来高を知りたい場合は、数量を合計してから割ります。除外した記録があれば、除外理由も残します。
前提が変わった場合の必要量も見ておく
先ほどと同じ、架空の必要製品量250kgについて、歩留まりの仮定を変えると次のようになります。
| 計画の仮定 | 計算上の必要原料量 | 確認すること |
|---|---|---|
| 80% | 312.5kg | この率の条件が今回と合うか |
| 75% | 約333.3kg | 基準として使う根拠があるか |
| 70% | 約357.1kg | 原料・当日能力に余裕があるか |
歩留まりの見積もりが下がるほど、必要原料量は増えます。ただ、低い率を選べば安心とは言えません。製品が余ったり、他商品の原料が足りなくなったりするためです。今回に近い原料・工程の記録を確認し、採用する率を決めます。
HAIFFの生産計画でも歩留まりを使います。割合を登録する際は、量った工程と採用した記録を説明できるようにしておきましょう。日によって歩留まりが違う場合では変動の見方を、原料と商品の分け方では在庫記録との関係を説明しています。
HAIFFでは、歩留まりを生産数量の計算条件にする
HAIFFの生産計画では、歩留まりと工場の生産上限を踏まえた原料投入量・商品生産量を日別に確認できます。出荷に必要な数量だけを製造指示へ移すのではなく、原料からどれだけ作れるかを計算へ組み込む仕組みです。
原料マスターには投入上限と一回に投入する単位を登録し、製品マスターには使用する原料を設定します。歩留まりから求めた量を、現場で投入できる単位や上限に照らして確かめられます。
