以下では、入荷から製造・出荷までの数量を点検する方法を紹介します。日々の製造と出荷に使う在庫表を整えるための提案で、会計上の在庫評価を扱うものではありません。

図は物が原料から製造中、完成商品へ移る関係を表しています。三つの数量が同じになるという意味ではありません。同じ現物を複数の状態へ重複して残さず、状態が変わった記録を対応させます。
原料・製造中・完成商品を別の状態にする
原料は製造へ投入する前のもの、商品は決めた工程を終えたものとして数えます。加工の途中で保管する場合は「製造中」の記録も必要です。原料と完成商品の両方に同じ現物が残らないようにしましょう。
どこで完成とするかは、工場の工程によって異なります。加工後と包装後では単位が変わることもあります。担当者によって数え方が違わないよう、どの作業を終えたら商品在庫に加えるかを決めてください。
| 区分 | 数える対象 | 主な増減 | 間違えやすい点 |
|---|---|---|---|
| 原料 | まだ投入していない原料 | 入荷、投入、移動、調整 | 倉庫移動を原料使用とする |
| 製造中 | 投入後、商品計上前のもの | 投入、工程完了、差異 | 原料と商品へ同時に残す |
| 商品 | 完成条件を満たした製品 | 製造入庫、出荷、調整 | 完成予定を実績へ混ぜる |
倉庫間の移動は、置き場所が変わっただけで工場全体の量は変わらない場合があります。移動元では減り、移動先では増える記録を対応させます。
まず基準時刻と単位を合わせる
前日夕方の原料表と今朝の商品表では、夜間に進んだ製造が反映される側が違います。照合する際は基準時刻を決め、その時刻より後の入荷・投入・完成・出荷を分けて数えます。
単位もそろえます。「10ケース」と「100kg」をそのまま足したり引いたりできません。1ケースの正味重量が一定か、実測重量を使うか、包装の重さを含むかを確認します。商品を個数で管理する場合は、原料kgとの関係を別に記録します。
数量を合わせるためだけに換算係数を変えると、次の計画で必要量を間違えます。まず記録漏れがないかを調べ、そのうえで換算係数そのものに修正が必要かを確かめてください。
架空例で、原料と商品の増減を追う
次は架空の数量例です。単位をkgに統一し、終業時には製造中の原料・商品が残っていないものとします。
| 状態 | 期首 | 当日の増加 | 当日の減少 | 期末 |
|---|---|---|---|---|
| 原料A | 300kg | 入荷100kg | 製造投入200kg | 200kg |
| 商品B | 50kg | 製造入庫150kg | 出荷120kg | 80kg |
原料は300+100−200=200kg。商品は50+150−120=80kgです。原料投入200kgと商品入庫150kgの差50kgは、歩留まりの計量範囲に関わる差です。これをそのまま「原料在庫が50kg紛失した」と判断しません。
50kgの差を理由も調べず「歩留まりの分」と済ませるのも避けましょう。工程内の残り、別用途に回した分、記録時刻のずれはないかを確認します。歩留まりの計算と必要原料量では、投入と完成のどこを比べるかを詳しく説明しています。
差異は、増減の順に追う
帳簿と現物が違う場合は、最終残量だけでなく増減を追います。
- 前回一致した時点と、その後の対象期間を決める。
- 入荷の実物と入荷記録を照合する。
- 製造投入と完成入庫の記録を対応させる。
- 出荷、倉庫移動、戻り、調整の記録を確認する。
- 残った差を再計量し、修正の理由と確認者を残す。
投入記録が200kgなのに原料表では180kgしか減っていなければ、先に投入側を点検します。原料側が合っているなら、完成品の入庫や出荷の記録を調べてください。帳票をすべて直す前に、どの作業の前後で差が出たかを探します。
計画に使える数量も別欄にする
現物と帳簿が一致していても、全量を次の出荷へ使えるとは限りません。すでに別の出荷へ割り当てた商品や、確認中のものがあれば、総在庫とは別に見せます。
| 商品・原料 | 基準時刻 | 総数量 | 今回使えない数量と理由 | 今回使える数量 | 更新者 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自社で記入 | 自社で記入 | 引当・状態確認など |
「今回使える数量」の更新担当も決めます。倉庫へ電話しないと毎回分からない数量は、この欄で共有できないか検討しましょう。担当がいなければ、欄を増やしても数字は古いままです。
HAIFFで生産計画を作るときも、表計算で管理するときも、入力する数量が何を指すかは確認が必要です。一つの原料と商品を選び、入荷・製造・出荷の記録を順にたどってみてください。
HAIFFでは、原料と商品を分けて日々の実績を確認する
HAIFFは、原料在庫の確認から一日の操作を始め、入荷があれば原料を追加し、出荷予定を登録して生産計画を作る流れです。その後、製造実績、出荷実績を順に登録し、製品在庫を確認します。
原料マスターと製品マスターも分かれています。製品マスターには商品コード・名称、対応する原料、販売価格、現在の在庫などを登録します。「原料の量」と「商品の量」を別の情報として持ち、両者の対応も設定する仕組みです。
HAIFFの数字を点検する場合も、原料側と商品側のどちらに差があるかを調べます。製造量と出荷量の記録を別々に確認すれば、加工で変わった数量と、出荷で減った数量を区別できます。
