この記事では、入荷から製造・出荷までの数量を整理する表と点検順を紹介します。会計上の在庫評価ではなく、日々の製造と出荷のための編集部提案です。

原料・製造中・完成商品を別の状態にする

原料はこれから製造へ使うもの、商品は製造を終えて管理するものとして分けます。その間に製造中の状態がある場合は、原料にも完成商品にも重複して数えないように記録します。

工場によって管理する工程は異なります。加工が終わっていても、包装前と包装後で管理単位が違う場合があります。「完成」の条件を担当者ごとに決めず、どの作業・確認を終えた数量を商品在庫へ入れるか合意してください。

原料・製造中・完成商品を別の状態にする:確認表
区分 数える対象 主な増減 間違えやすい点
原料 まだ投入していない原料 入荷、投入、移動、調整 倉庫移動を原料使用とする
製造中 投入後、商品計上前のもの 投入、工程完了、差異 原料と商品へ同時に残す
商品 完成条件を満たした製品 製造入庫、出荷、調整 完成予定を実績へ混ぜる

倉庫間の移動は、置き場所が変わっただけで工場全体の量は変わらない場合があります。移動元では減り、移動先では増える記録を対応させます。

まず基準時刻と単位を合わせる

前日夕方の原料表と当日午前の商品表を比較すると、その間に進んだ製造が差に見えます。棚卸しや照合では基準時刻を一つ決め、その前後に起きた入荷・投入・完成・出荷を区別します。

単位もそろえます。「10ケース」と「100kg」をそのまま足したり引いたりできません。1ケースの正味重量が一定か、実測重量を使うか、包装の重さを含むかを確認します。商品を個数で管理する場合は、原料kgとの関係を別に記録します。

量が合わないときに換算係数を都合よく変えて合わせると、次の製造計画まで誤ってしまいます。係数の見直しが必要なのか、記録漏れなのかを切り分ける順番を守ります。

架空例で、原料と商品の増減を追う

次の例では、説明を簡単にするためkgを使い、製造中の残量が期末にないものとします。実際の工場の歩留まりや廃棄量を示すものではありません。

架空例で、原料と商品の増減を追う:確認表
状態 期首 当日の増加 当日の減少 期末
原料A 300kg 入荷100kg 製造投入200kg 200kg
商品B 50kg 製造入庫150kg 出荷120kg 80kg

原料は300+100−200=200kg。商品は50+150−120=80kgです。原料投入200kgと商品入庫150kgの差50kgは、歩留まりの計量範囲に関わる差です。これをそのまま「原料在庫が50kg紛失した」と判断しません。

一方、差50kgの理由を何も確認せず歩留まりに埋めるのも適切ではありません。工程内に残った量、別用途へ回った量、記録の時間差などを含めて説明できるか確認します。詳細は歩留まりの計算と必要原料量を参照してください。

差異は、増減の順に追う

帳簿と現物が違う場合は、最終残量だけでなく増減を追います。

  1. 前回一致した時点と、その後の対象期間を決める。
  2. 入荷の実物と入荷記録を照合する。
  3. 製造投入と完成入庫の記録を対応させる。
  4. 出荷、倉庫移動、戻り、調整の記録を確認する。
  5. 残った差を再計量し、修正の理由と確認者を残す。

例えば投入が200kgなのに原料表で180kgしか減っていなければ、完成商品側を修正する前に投入記録を点検します。反対に原料側が一致しているなら、商品の完成記録や出荷記録から確認します。関連する帳票を全部作り直すより、差が生まれた境目を探します。

計画に使える数量も別欄にする

現物と帳簿が一致していても、全量を次の出荷へ使えるとは限りません。すでに別の出荷へ割り当てた商品や、確認中のものがあれば、総在庫とは別に見せます。

計画に使える数量も別欄にする:確認表
商品・原料 基準時刻 総数量 今回使えない数量と理由 今回使える数量 更新者
自社で記入 自社で記入 引当・状態確認など

使える数量を誰が確定するかも決めておくと、生産計画担当者が毎回倉庫へ電話する必要のある箇所を減らせます。役割が決まらないまま列だけ増やしても更新されません。

HAIFFは原料・商品在庫と製造・出荷をつなぐ考え方で生産計画を支援します。入力前に数量の意味をそろえることは、表計算でもシステムでも必要です。まず一つの原料と商品を選び、入荷から出荷までの一巡を追ってください。

参照

製品説明:HAIFF公式ページ。本稿の表と照合手順は編集提案です。在庫を計画につなぐ方法は生産計画の基本手順、差異の調査は棚卸しの差異を確認する手順へ進めます。