例えば、食品・水産加工の計画担当者が、夕方に翌日の製造指示を作る場面です。完成品は120 kg必要なのに、最近の歩留まりは75〜80%。使える原料は155 kgで、どの率を採用するかによって「足りる・足りない」が変わります。これは説明用の架空例ですが、この記事ではこの判断を最後まで追います。

読み終えたら、一商品について採用する率、必要原料量、不足する場合の相談先を計画表に残せる状態を目指してください。

比較できる実績だけを並べる

この記事の歩留まりは、完成品の重量を投入原料の重量で割った比率です。どこからを投入量に含め、どの工程で完成品を量るかを決めて比較します。解凍前と解凍後、包装前と包装後の値を混ぜると、実際にはない変動まで生まれます。

実績には、原料の規格・ロット、製品規格、設備、工程条件、計量時点を添えます。細かな項目を一度に増やす必要はありません。重量の意味を明確にしたうえで、現場で差が出そうだと考える項目から記録しましょう。

比較できる実績だけを並べる:確認表
実施日 原料・規格 投入重量と測定時点 完成重量と測定時点 条件・例外
__ __ __kg/__ __kg/__ __
__ __ __kg/__ __kg/__ __

その日に投入した原料が、すべて同じ日に完成するとは限りません。未完成分は仕掛品として分けます。前日に投入した分の完成も含めてしまうと、当日の投入重量で割っても正しい歩留まりになりません。

平均を取るなら、投入量の違いを反映する

架空の例として、ある日は100 kgを投入して80 kgが完成し、別の日は20 kgを投入して12 kgが完成したとします。日別の歩留まりは80%と60%ですが、二日の率を単純平均した70%は、総投入に対する歩留まりではありません。

同じ条件としてまとめてよいなら、合計完成量92 kgを合計投入量120 kgで割り、約76.7%と計算します。投入量が大きい日の影響を正しく含めるためです。ただし原料規格が違うなら、そもそも二日を一つの計画値へまとめることが適切かを先に検討します。

規格ごとに歩留まりが違うなら、全体を平均するより規格別の計画値を持つ方が使いやすくなります。平均したことで違いが隠れていないかを確認してください。

明日の必要原料量を計算し、足りるか判断する

明日の計画には、使う原料の規格や工程が近い日の実績を選びます。記録が少ない間は暫定値と明記し、確かな標準値のように扱わないでください。初めて使う原料なら、どの範囲で試し、誰が結果を確認するかを決めます。

冒頭の架空例で計算します。ここでいう120 kgは、出荷に使える完成品在庫を差し引いた後の、新たに製造する必要がある量です。他の注文に割り当てた原料は除き、今回使える原料を155 kgとします。一日の投入上限は170 kgと仮定します。

必要原料量は、必要完成量 ÷ 歩留まりです。80%なら0.80、75%なら0.75を入れます。

明日の必要原料量を計算し、足りるか判断する:確認表
計算する条件 必要原料量 使える原料155 kgとの比較 投入上限170 kgとの比較
歩留まり80% 120 ÷ 0.80 = 150 kg 5 kg残る 上限内
歩留まり75% 120 ÷ 0.75 = 160 kg 5 kg不足する 上限内

80%なら作れる計画でも、75%では原料が足りません。155 kgを全て使っても、完成量は155 × 0.75 = 116.25 kgで、必要量より3.75 kg少なくなります。この計算は重量だけの例です。実際の指示では、製品一個の重量や製造単位に合わせた数量も確認します。

この場合、計画担当者は原料担当へ「追加の5 kgを、製造開始までに確保できるか」を確認します。確保できないなら、出荷担当へ不足する可能性のある3.75 kgを伝え、数量や納期を相談します。追加分や出荷条件が決まるまで、120 kgを作れる計画として確定しません。 投入上限を超える場合も、設備・人員の担当者に相談が必要です。

低い方の率で多めに投入すれば、いつも解決するわけではありません。160 kg投入して80%取れたら完成量は128 kgとなり、8 kg余ります。追加分をすぐ全量投入するか、途中で出来高を確認して投入量を調整できるかは、工程上の制約も含めて製造担当者と決めます。

数字を変える前に、計測と工程の理由を確認する

実績が急に変わったら、まず計量・入力の誤りや仕掛品の混入を調べます。次に、原料や製品の規格が変わっていないかを確認してください。計画に合うように実績を直したり、理由を調べずに標準値を書き換えたりすると、次の計画でも原因が分からなくなります。

工程の変化が関係していそうなら、製造・品質担当者へ確認します。重量が多く残ったからといって、品質や利益まで良くなったとは限りません。必要な処理や検査を減らして歩留まりだけを上げないようにします。

変更後の計画値には、対象規格、根拠となる実績期間、決定者、見直し時期を付けます。これにより、担当が変わっても「なぜこの数字か」を引き継げます。

記録が二日分しかない、新しい原料で比較できる日がない、といった場合は、安定した歩留まりをこの記事だけで決めることはできません。製造担当者と暫定値と試す量を決め、最初の製造結果を確認する時点を設定します。確認までは標準値を書き換えず、今回の計画に使う仮定として残しましょう。

採用する歩留まりを、担当者間で確認する

計画担当が選んだ率を、製造担当にも確認してもらいます。「最近の平均だから」だけでは、明日の原料に使えるか分かりません。根拠にした製造日と原料規格を示し、明日は何が同じで何が違うかを話します。

必要原料が増える場合は、原料担当へ数量を伝え、確保できるかも確認します。採用する率だけでなく、足りないときに数量を見直すのか、出荷担当へ相談するのかまで決めておきましょう。

計算の基本は水産加工の歩留まり計算、完成量の差を他の原因と分ける方法は計画と実績の確認手順で解説しています。

HAIFFでは、計算した数量と日々の実績を確認する

投入と出来高を比較して計画条件を見直す流れ
投入と出来高の測定条件を揃え、計画に使う歩留まりを人が見直します。 図を拡大する

HAIFFの生産計画では、歩留まりや工場の製造上限を考慮して算出した原料投入量と商品生産量を確認できます。計画を作った後は、日々の製造実績と出荷実績を登録します。

業務日報では、その日に使った原料量、製造した商品量、出荷量などを確認できます。毎日の記録を残しておくと、計画に使った歩留まりと当日の結果を比べる材料になります。

歩留まりの変動を生産計画へ反映する際のチェックリスト