まず対象、時刻、単位を揃え、再計数、入出庫の照合、差異の確定の順に進めます。この記事では数量の調査手順を扱い、原因が分からないまま在庫を上書きすることを避けます。

対象範囲と基準時刻を固定する

棚卸し開始前に、どの倉庫、保管場所、品目、状態を数えるかを決めます。原料、仕掛品、完成品を混ぜず、保留品や返却予定品も別の状態として確認します。現物が存在することと、製造に使用できることは同じではありません。

作業を止められる場合は、定めた時刻で動きを区切ります。止められない場合は、その時刻以降に動いた品目と数量を別に記録し、後で基準時刻へ戻して比較できるようにします。

対象範囲と基準時刻を固定する:確認表
棚卸し条件 記入欄
基準日時 __年__月__日__時
対象の場所 __
対象品目・規格 __
数える単位 __
入出庫を止める/別記録する __
数量確定の担当 __

差異が大きい品目から、現物を再確認する

同じ名称でも規格や入数が違う箱が混在していないか確認します。未開封ケースと開封済みの端数を分け、箱数だけでなく換算の根拠を残しましょう。重量が一定でない原料は、固定のケース重量で換算すると差が出ます。

再計数は、可能なら最初の数量を見ずに別担当が行います。帳簿の数字へ無意識に合わせることを避けるためです。計量器、容器の風袋、記録の小数点も確認します。複数の置場がある品目は、調査中であることを表示し、二重計数や数え漏れを防ぎます。

基準時刻の前後で、入出庫をたどる

次に、帳簿の期首数量へ入荷を足し、投入や出荷などを差し引き、移動を整理します。調査するのは伝票の日付だけではなく、実際に物が動いた時刻と入力時刻の関係です。

架空の例として、9時の帳簿在庫が100 kg、9時15分に20 kgを投入し、9時30分に現物を80 kgと数えたとします。9時時点の帳簿と9時30分の現物を直接比べれば20 kgの差になりますが、投入を反映した同時点の帳簿とは一致します。この場合、原因は紛失ではなく比較時刻のずれです。

基準時刻の前後で、入出庫をたどる:確認表
動き 現物が動いた時刻 数量・単位 入力時刻 照合資料
入荷 __ __ __ 納品書・受入記録
製造への投入 __ __ __ 製造記録
場所の移動 __ __ __ 移動記録
返却・廃棄など __ __ __ 対応記録

移動元と移動先の両方へ記録があるか、単位が途中で変わっていないかも確認します。総量が合っていても置場別でずれているなら、まず移動記録を調べるのが自然です。

差異の確定と、原因の確定を分ける

再計数と照合を終えても原因が分からない場合があります。その時は「現物は80 kgと確認済み、帳簿との差20 kgの原因は調査中」と、分かっている事実と不明点を分けます。

修正が必要な場合は、修正前後の数量、理由、根拠資料、実施者、確認者を残してください。「棚卸し調整」だけでは次回の調査で同じ問題を繰り返します。誤った入力を訂正したのか、原因不明差異を反映したのかも区別しましょう。

在庫の状態が分からない品や表示に疑問がある品は、数量が合うことだけで使用可とせず、社内の確認手順へ回します。ここで示す数量照合は、品質判断の代わりにはなりません。

次回は、差異が起きた動作を一つ直す

調査の最後に、原因別に再発防止を決めます。単位の誤りなら換算表、入力遅れなら登録する時点、移動の片側漏れなら移動の記録方法を見直します。全員へ「注意する」と伝えるだけでなく、どの場面で誰が何を残すかまで決めましょう。

例えば開封後の残量が原因なら、開封済み品の置場と残量表示を試します。全在庫の記録項目を増やす前に、差異が多い一品目で改善が働くか確かめます。翌回は差異の大きさだけでなく、調査に必要な資料が揃っていたかも振り返ると運用を改善できます。

原料と完成品の区別は在庫が合わない原因の整理、入荷から投入までのつながりは原料ロットの記録で確認できます。

参考情報