この記事では、企画段階で条件を比較するための原価表を作ります。数値はすべて架空の計算例で、HAIFFや特定工場の実績、推奨売価・利益率ではありません。

「いくらで売るか」の前に、数量と費用の範囲をそろえる

同じレシピでも、試作10個と製造100個では1個あたりの作業や費用が変わります。計算の先頭に、製造回数、投入量、販売可能数量、対象期間、金額が税抜か税込かを書きます。本稿の例は税抜でそろえます。

費用の区分も明確にします。製造原価を見たいのか、販売にかかる費用まで含む採算を見たいのかによって、表の読み方が違います。J-Net21も原材料だけでなく、労務費・間接費などの範囲と配分によって原価の把握が変わることを説明しています。新製品の価格設定方法

「いくらで売るか」の前に、数量と費用の範囲をそろえる:確認表
項目 計算の材料 確認すること
主原料・副原料 使用量×単価 仕入量と使用量の違い、歩留まり
調味料 使用量×単価 kg・g・袋などの換算
包材 使用数×単価 袋、箱、ラベルなどの範囲
加工 作業時間・外注料金 自社作業と外注の二重計上
製造間接費 自社で決めた配分額 配分の根拠と対象期間
販売・配送・開発 手数料、配送、販促、試作など 製造原価と分けて扱いを決める

見積に含まれている費用を、別の欄でも足さないようにします。例えば外注単価に包装作業が含まれるなら、自社の包装作業費を同じ数量へ再度加えるかは確認が必要です。

1回の費用を、販売できる数量で割る

架空例として、一回の製造で販売可能な商品が100個できる条件を置きます。製造原価として次の費用を配分するものとします。

1回の費用を、販売できる数量で割る:確認表
製造原価の項目 1回分 1個あたり
主原料 9,600円 96円
調味料 1,200円 12円
包材 2,500円 25円
加工費 4,700円 47円
製造間接費の配分 2,000円 20円
合計 20,000円 200円

この200円には、販売手数料、出荷後の配送費、広告、開発費などを含めていません。粗利の試算に使うための例であり、会社に最終的に残る利益ではありません。

販売可能数が90個になり、費用総額を20,000円のまま置くなら、1個あたり約222.2円になります。「100個作る予定」だけで割らず、使える出来高を条件として残すことが重要です。費用そのものも変わる場合は、数量と一緒に更新します。

利益率を載せるときは、分母を確認する

この例で、1個の製造原価を200円、販売価格を300円とすれば、差額は100円、売価に対する率は100÷300×100で約33.3%です。

売価に対する粗利率を30%と仮定して逆算するなら、200÷(1−0.30)=約285.7円となります。原価に30%を足した260円とは異なります。260円の場合、差額60円を売価260円で割ると約23.1%です。

30%は計算を説明するための設定です。必要な率は、自社の販売費用、間接費、販売数量、商品構成などを踏まえて決めます。他社や別業種の「標準」を、根拠なく当てはめないでください。

粗利が出ても、採算が合うとは限らない

1個あたりの差額が出たら、その後にかかる費用と販売数量を確認します。販売先への手数料、配送条件、値引き、販促などを含めて、どの段階の利益を見ているかを明記します。

商品単位の試算に費用を配分した場合は、会社全体の計画で再び同じ費用を引いていないかも確認します。反対に、商品側で含めていない固定費を、どこでも回収しない計画にしてはいけません。

販売数量と固定費・変動費を分けた採算確認には損益分岐点の考え方が使えます。費用をどう分類するかを社内でそろえてから検討してください。J-Net21の損益分岐点の解説

原価だけでなく、顧客が買う条件と突き合わせる

計算上必要な価格が出ても、その価格で売れるとは限りません。誰へ、どの量・荷姿・納品条件で販売するか、顧客が何に価値を感じるかを確かめます。卸価格と店頭価格を同じ数字で比較しないことも必要です。

架空例の200円を使うなら、原料単価が変わる、販売可能数が減る、販売価格が下がるという条件を一つずつ変えて比べます。すべてを良い方向に仮定した一枚だけで採用判断をしないようにします。

HAIFFの商品開発では原価・粗利の確認を支援しますが、入力した単価や費用、数量の条件を担当者が確認します。企画時の試算と、実際の試作・販売の結果は別に記録し、条件が変わったら更新してください。

参照と次の確認

製品の説明:HAIFF公式ページの商品開発FAQ。本稿の原価表と数値は独自の架空例です。商品開発の全体手順試作の評価項目原料価格が変わった場合の見直しと併せて使えます。