既存原料を使った新商品を考える小規模な食品製造会社に向けて、企画・試作・原価確認の進め方を紹介します。以下の表は編集部の提案です。特定の商品が成功した経緯を紹介するものではありません。

図は顧客が使う場面から、試作の問い、測定項目、採用条件へ進む順番です。必須と目標は条件の区別を示し、既に検証を終えたことや合格したことを示す印ではありません。
顧客と使う場面を、原料の特徴より先に書く
「余っている原料を使いたい」は会社側の事情です。買う側には、その商品を選ぶ理由が必要です。使う人、購入する人、販売先が違う場合は、それぞれを分けます。
「忙しい家庭向け」では、量や調理方法を決めるにはまだ漠然としています。「平日の夕食で、主菜を手早く用意したい人」まで具体的にすれば、一回に食べる量や調理・片付けの手間を調べられます。想像した人物像で終わらせず、実際の買い物や調理で困っているかを確かめましょう。
| 企画の入口 | 記入すること |
|---|---|
| 買う人・使う人 | 誰の判断で、誰が使うか |
| 使う場面 | いつ、何と一緒に、どう用意するか |
| 現在の代替 | 今は何で済ませ、何に困っているか |
| 提供する価値 | 自社商品で何が変わる見込みか |
| 未確認の仮説 | 顧客に聞くこと、実際に試すこと |
「健康によさそう」など根拠を別途確かめる必要がある表現を、企画の便利な説明として先に確定しないことも大切です。
作れる条件と、まだ分からない条件を分ける
企画が見えてきたら、使う原料と設備、試作量、包装、売り方、想定価格を書き出します。いつもの設備でも、製造量や包装が変わると作業が増えることがあります。
分からない欄を無理に埋める必要はありません。確認済み、試作で調べる、外部へ確認するに分けて残してください。品質や保存条件は、誰がどの方法で評価するかも決めておきます。
保存や包装の問題を後回しにすると、味が決まってから売り方を変えることになりかねません。確認できない点ほど早めに出しておけば、試作のやり直しを小さくできます。
複数案は、同じ質問で比べる
案を選ぶときは、商品名や見た目の好みだけで投票しないようにしましょう。買ってもらう理由があるか、作れそうか、原価を調べられるかを、各案について書きます。
| 比較項目 | 案A | 案B |
|---|---|---|
| 想定する場面 | ||
| 今の代替より良くなること | ||
| 既存原料・設備を使える範囲 | ||
| 新しく必要な作業・調達 | ||
| 最大の未確認事項 | ||
| 次の試作で確かめる一問 |
架空の例として、同じ魚原料を使う「温める主菜」と「少量のおつまみ」を考えた場合、主菜は準備の手間、おつまみは1回量や食べる場面が重要な問いになります。異なる用途を同じ試食の点数だけで比較せず、それぞれが約束する価値を確認します。
試作前に、結果の記録と次の判断を決める
試作では味の感想に加え、変えた箇所とその結果を記録します。使った原料と投入量、作業の手順を書き残します。出来高と作業時間、評価時の状態も記録すれば、もう一度同じように作れるかを確かめられます。
最初から多くの条件を同時に変えると、どの変更が効いたか分からなくなります。例えば配合を比べる試作と包装を比べる試作は、目的を分けて行います。品質や安全性の検証は、試食で好評だったという理由で省略しません。
試作前には、何を確かめたら次へ進むかも決めます。同じ手順で再現できるか、想定量を包装できるか、顧客に使い方が伝わるか。必要な数値基準は商品の目的と測定方法に合わせて設定してください。
原価は、実際に売れる数量から確認する
原料費だけでなく、調味料、包材、加工、確認、出荷に関わる費用を整理します。試作で10個作っても、販売に使えるものが8個なら、原料費を10で割った数字だけでは判断できません。試作専用の費用と、販売を続けるたびにかかる費用も分けます。
価格は原価だけでは決まりません。販売先が受け入れる条件や代替商品との関係も確かめる必要があります。J-Net21も新製品の価格設定を、原価・顧客・競合の面から検討する考え方を示しています。新製品の価格設定方法
AIが出した案を、次の確認作業へつなぐ
HAIFFは、企画条件や商品案、試作レシピ、原価・粗利の確認など、商品化を検討するための材料づくりを支援します。AI上の想定顧客レビューは、実際の顧客調査の代わりではありません。レシピや調査結果も初期案として扱い、試作と人の確認を経て判断します。
会議が終わる前に、採用する案と次の試作を決め、未確認事項の担当と期限を記入してください。原価表は新商品の原価試算、試作で測る項目は試作前に決める評価項目を参考にできます。
HAIFFでは、企画から試作・採算確認まで段階を分けて進める
HAIFFの商品開発は六段階です。企画条件を整理して商品案を選び、調査レポート、試作レシピ、架空の顧客レビューへ進み、最後に原価・粗利を確認します。試作や会議で検討する資料を順に作る流れになっています。
試作レシピには作業手順のほか、工程の調整点、試作後に測る項目、採用基準の案が提示されます。担当者はその中から今回調べるものを選び、実際の試作に使います。
