原料費が前回より高いときや、製造実績の金額と出荷表が合わないときは、一件の製造に絞って計算条件をたどります。生産管理担当者と経営者が、数量、単価、費用のどこに差があるかを調べる手順です。全体の指標選びは食品工場の数値の見える化ガイドで確認できます。

使用ケースの単価と原料使用量から原料費を求め、完成数量に商品単価を掛けた売上相当額と比較し、出荷売上は別に照合する流れ
製造時点の採算と出荷売上を分けて確認する概念図です。金額の対象と費用の範囲をそろえます。 図を拡大する

最初に、画面の金額が何を表すかを分ける

数量が実績でも、金額まで実際の販売結果とは限りません。 製造した商品がまだ倉庫にある場合や、販売先ごとに価格が異なる場合、製造数量から求めた金額と出荷売上には差が出ます。

最初に、画面の金額が何を表すかを分ける:確認表
比べたい数字 数量と単価の組み合わせ 確認すること
使用原料の原料費 使用した原料数量 × その原料の単価 使用ケース・ロット、単価の単位、実測の有無
製造数量ベースの売上相当額 完成した商品数量 × 商品単価 完成の定義、商品規格、単価の設定
出荷した商品の売上額 出荷数量と販売条件に基づく金額 出荷日、販売先、値引きなどの取扱い
製造時点の採算を見る差額 売上相当額 − 原料費 人件費・包装費など、まだ含めていない費用

まず一件の製造を選び、製造日、商品、使用原料、数量の単位を書き出します。表のどの金額を確かめたいかも決めてください。

一件の製造を、使用ケースまで戻って確認する

原料名が同じでも、仕入時期や規格によって単価が異なる場合があります。平均的なマスター単価だけで判断する前に、今回どのケース・ロットを使ったかを確認します。

  1. 製造した商品と完成数量を特定する。加工完了と包装完了など、どの段階の数量かもそろえる。
  2. 使用した原料のケース・ロットと使用数量を確認する。複数を使った場合は別々の行にする。
  3. 単価が「1kg」「1個」など、何に対する価格かを数量の単位と照合する。
  4. 使用数量と完成数量が実測か、予定から引き継いだ値かを確かめる。
  5. 計算対象の原料費を集計し、商品数量と単価から求めた金額と比較する。

単価が空欄の原料を0円と見なすと、差額が実態より大きく見えます。0円の登録も、無償支給なのか未入力の代わりなのかを確認します。単価のそろえ方は原料ケースごとの単価を管理する手順へ進めます。

架空例で、製造採算と出荷売上の違いを確かめる

以下は説明用の架空例です。ある商品を100個製造し、商品単価を500円とします。原料はケースAから40kgを400円/kg、ケースBから20kgを500円/kg使ったと仮定します。

架空例で、製造採算と出荷売上の違いを確かめる:確認表
計算する項目 計算 金額
ケースAの使用原料費 40kg × 400円/kg 16,000円
ケースBの使用原料費 20kg × 500円/kg 10,000円
使用原料費の合計 16,000円 + 10,000円 26,000円
製造数量ベースの売上相当額 100個 × 500円 50,000円
原料費を引いた差額 50,000円 − 26,000円 24,000円

この条件で、売上相当額を分母にした差額の割合は48%です。ただし、人件費や包装資材費などは含めていません。48%は原料費だけを引いた差額の割合です。

同じ日に80個を500円で出荷したなら、出荷数量から求める金額は40,000円です。ここから製造100個分の原料費26,000円をそのまま引いても、出荷した80個の採算をそろえて比較したことにはなりません。残った20個と出荷分に原価をどう対応させるか、別途整理が必要です。

製造数量、出荷数量、残った在庫を照合してから、対象に合う原価を比較します。差の切り分けには生産計画と実績を照合する手順も利用できます。

差額が変わった理由を、一つずつ切り分ける

原料費が増えた理由は、単価の上昇だけではありません。 前回と今回で、使用量、完成数量、商品規格、使用ケースの単価を並べます。

  • 単価だけが上がった:使用ケースの仕入条件を確認する。
  • 使用量が増えた:製造条件やロス、数量の記録を確認する。
  • 完成数量が減った:完成の定義や未計上の数量を確認する。
  • 商品単価が変わった:比較に使った価格の設定を確認する。

複数の原料から複数の商品を作る場合は、原料費を各商品へどう分けたかも確認します。総額が合っていても、配分の基準が違えば商品別の差額は変わります。単価の変更が確認できても、使用量の増加理由が不明なら、両方を「値上がり」で説明しないようにします。

HAIFFでは、使用原料と完成数量から製造時点の採算を確認する

HAIFFの製造実績では、使用した原料のケース・ロット、原料数量、製造した商品と完成数量を記録できます。手動で製造実績を作る流れでは、ケース内の原料単価と使用数量から原料費を求め、商品単価と製造数量から売上相当額を計算します。製造実績の画面では、これらの金額と原料費を差し引いた粗利益を確認できます。

画面の粗利益は、製造数量に基づく採算の確認に使います。出荷先の販売金額と、使った原料ケースの費用を自動で照合した確定利益ではありません。

また、実績数量や金額が未入力の場合、計画数量・計画金額や単価から補う処理があります。「実績」と表示されていても、元の数量と単価を確かめてください。日報で数量を読むときも、計画から補った値がないか確認します。

生産計画の試算には登録した費用を含めて見る仕組みもありますが、製造実績で原料費を引いた差額と、費用範囲は同じとは限りません。比較する際は、引いている費用をそろえることを優先します。

食品製造の実績原価と粗利を確認する際のチェックリスト

チェックが残ったら: 単価や数量が不足していれば、まず対象のケースと製造記録を確認します。そろったら一件だけ手計算と画面の金額を照合し、差の理由を記録しましょう。確認結果を翌日の仕事へ引き継ぐには、在庫確認から製造実績・日報までをつなぐ一日の業務フローを使って、確認するタイミングと担当を決めます。